★少し前から、「FOOD・SCIENCE」というWebからのメールマガジンを取っています。「食にまつわるあらゆる問題の解決の一助」をめざしているそうで、詳しくは、ここを読んでみてください。
「FOOD・SCIENCE」の中では、連載「松永和紀のアグリ話」というのを主に読んでいます。
この最新号についての反論です。このあと長いです。
「FOOD・SCIENCE」の中では、連載「松永和紀のアグリ話」というのを主に読んでいます。
この最新号についての反論です。このあと長いです。
この松永さんというライターについては、ここに紹介がありますが、元毎日新聞の記者で、「科学ライターとしての得意分野は、農業、環境。小5の娘を持つ主婦」だそうです。
2005-10-26付けの「松永和紀のアグリ話」●納豆も週刊誌も、売るためには真実を書かないのかを読みまして、こちらは、ちんけな「菜園ライター」ですが、何か書いておかなくちゃと思い、まだ10月分のアップしなければならない記事が残っているのに、取り掛かりました。
11月4日号「週刊ポスト」(小学館)の「納豆の健康神話に偽り」という記事についての文章です。
以下、引用部分は、青字にしました。
この記事が、
「遺伝子組み換えが、薬害エイズ事件やアスベスト公害問題と同列の「災厄」に祭り上げられている。ウソは書かないが、事実の一部を欠落させることで、本質とは異なる扇情的な内容」
となっていると、松永さんは指摘します。
この、「ウソは書かないが、事実の一部を欠落させる」ことで、本質とは異なる文脈へ持ち込むのは、この松永さんも同じだと思われます。
松永さんによれば、この記事では、
「取り上げられているのは表示制度の問題点。非遺伝子組み換えの流通においては、組み換え品の「意図せざる混入」は防げないという理由で、5%までの混入が認められている。しかし、消費者の中には、「遺伝子組み換えでない」との表示があれば組み換え品の混入率はゼロだと思い込んでいる人が多い。このことを指摘」
しているそうです。
ここまでは、「ウソ」ではないでしょう。
松永さんが、記事が故意に(?)欠落させている「事実の一部」としてあげるのが、
現在市場に流通している遺伝子組み換えダイズが、国による食品安全性評価が行われた上で認可されている、という事実である。
国は、組み換えダイズと非組み換えダイズは実質的に同等であり、安全性に違いはない、としている。表示制度が作られたのも、安全性の優劣を示すためではなく、組み換え食品を食べたくないという消費者の選択の権利を認めたものである」ということです。
もちろん、これも、「事実」です。
そして、ちらりと、こう書くのです。
確かに、一部の市民団体などは「遺伝子組み換えは、疫学調査が行われていないから危ない」と主張する。記事は、「遺伝子組み換えは危険」とは一言も書かずに「疫学調査が行われていないから日本では商業栽培が行われていない」と書くことで、危険なものであることを匂わせる。
そして、
だが、疫学調査が行われていないからいけない、という論理がまかり通れば、食べられる食品はない。例えば、野菜の多くに発がん物質が含まれているが、疫学調査などだれも要求していない
と。
結局、遺伝子組換え大豆であろうと、国が安全だといっているんだ、疫学評価なんてする必要はない、消費者が組換えなしだと思って選択してたとしても、実質違いはないのだ、という文脈につながっているとしか読めないんですね。
とくに、遺伝子組換え反対の根拠を、疫学調査の有無に、矮小化していることに、唖然としてしまいます。
「一部の市民団体」の方が、きっちりと、反論してくれればいいのに、と思いつつ、未熟ながら、ここまで書いて来ました。
世界農業の中で、遺伝子組換え技術が、それを握る超巨大なバイオ企業が、いったい何をしてきたのか。誰が得をして、誰が疲弊したのか。
遺伝子組換え食品を拒否するとき、食べる自分の健康のことしか考えない人が多数派なのかもしれませんが、そこにのっかって、恐怖をあおる「週刊誌の手法」と、同じくそこに乗っかって「ライターならだれでも、きちんとした取材で物事の本質に近づき読者に伝えたいという欲求がある」はずなのに、遺伝子組換え問題の本質を覆い隠しているとしか思えない「アグリ話」は、似たもの同士に思われます。
この、松永さんの、2005-09-07付けの●鳥インフルエンザ、農水と学者は説明責任を果たしているかもあわせて読んでいただくと、このかたの傾向がよく見えてくると思います。
最新技術を駆使した養鶏場(もちろんウィンドレス)から、鳥インフルエンザが確認されたことを受けて、不正な未承認ワクチンの使用はありえないという根拠を「「あの人なら大丈夫」などというと科学ライターにあるまじき非科学的発言と非難されそうだ。しかし、××園には不正も落ち度もない、というのが長年取材活動を続けてきた私の勘であり、確信である。」
としたうえで、空気感染が原因ではないか、という所にもっていっているのです。
業界では、ワクチン使用が原因、というのは、もう通説になっているようなのに。10月にはいって、一般人にも、強毒性の鳥インフルエンザの流行の兆しが見えてきましたが、養鶏業界の最先端の部分では、多分予想していたことなのではないでしょうか。それに、備えた、ということは、充分考えられます。
お人よしなのか、確信犯なのか、よくわかりませんが、自分の中に軸をしっかりもって、情報に接しなければ、と思う「菜園ライター」でした。
2005-10-26付けの「松永和紀のアグリ話」●納豆も週刊誌も、売るためには真実を書かないのかを読みまして、こちらは、ちんけな「菜園ライター」ですが、何か書いておかなくちゃと思い、まだ10月分のアップしなければならない記事が残っているのに、取り掛かりました。
11月4日号「週刊ポスト」(小学館)の「納豆の健康神話に偽り」という記事についての文章です。
以下、引用部分は、青字にしました。
この記事が、
「遺伝子組み換えが、薬害エイズ事件やアスベスト公害問題と同列の「災厄」に祭り上げられている。ウソは書かないが、事実の一部を欠落させることで、本質とは異なる扇情的な内容」
となっていると、松永さんは指摘します。
この、「ウソは書かないが、事実の一部を欠落させる」ことで、本質とは異なる文脈へ持ち込むのは、この松永さんも同じだと思われます。
松永さんによれば、この記事では、
「取り上げられているのは表示制度の問題点。非遺伝子組み換えの流通においては、組み換え品の「意図せざる混入」は防げないという理由で、5%までの混入が認められている。しかし、消費者の中には、「遺伝子組み換えでない」との表示があれば組み換え品の混入率はゼロだと思い込んでいる人が多い。このことを指摘」
しているそうです。
ここまでは、「ウソ」ではないでしょう。
松永さんが、記事が故意に(?)欠落させている「事実の一部」としてあげるのが、
現在市場に流通している遺伝子組み換えダイズが、国による食品安全性評価が行われた上で認可されている、という事実である。
国は、組み換えダイズと非組み換えダイズは実質的に同等であり、安全性に違いはない、としている。表示制度が作られたのも、安全性の優劣を示すためではなく、組み換え食品を食べたくないという消費者の選択の権利を認めたものである」ということです。
もちろん、これも、「事実」です。
そして、ちらりと、こう書くのです。
確かに、一部の市民団体などは「遺伝子組み換えは、疫学調査が行われていないから危ない」と主張する。記事は、「遺伝子組み換えは危険」とは一言も書かずに「疫学調査が行われていないから日本では商業栽培が行われていない」と書くことで、危険なものであることを匂わせる。
そして、
だが、疫学調査が行われていないからいけない、という論理がまかり通れば、食べられる食品はない。例えば、野菜の多くに発がん物質が含まれているが、疫学調査などだれも要求していない
と。
結局、遺伝子組換え大豆であろうと、国が安全だといっているんだ、疫学評価なんてする必要はない、消費者が組換えなしだと思って選択してたとしても、実質違いはないのだ、という文脈につながっているとしか読めないんですね。
とくに、遺伝子組換え反対の根拠を、疫学調査の有無に、矮小化していることに、唖然としてしまいます。
「一部の市民団体」の方が、きっちりと、反論してくれればいいのに、と思いつつ、未熟ながら、ここまで書いて来ました。
世界農業の中で、遺伝子組換え技術が、それを握る超巨大なバイオ企業が、いったい何をしてきたのか。誰が得をして、誰が疲弊したのか。
遺伝子組換え食品を拒否するとき、食べる自分の健康のことしか考えない人が多数派なのかもしれませんが、そこにのっかって、恐怖をあおる「週刊誌の手法」と、同じくそこに乗っかって「ライターならだれでも、きちんとした取材で物事の本質に近づき読者に伝えたいという欲求がある」はずなのに、遺伝子組換え問題の本質を覆い隠しているとしか思えない「アグリ話」は、似たもの同士に思われます。
この、松永さんの、2005-09-07付けの●鳥インフルエンザ、農水と学者は説明責任を果たしているかもあわせて読んでいただくと、このかたの傾向がよく見えてくると思います。
最新技術を駆使した養鶏場(もちろんウィンドレス)から、鳥インフルエンザが確認されたことを受けて、不正な未承認ワクチンの使用はありえないという根拠を「「あの人なら大丈夫」などというと科学ライターにあるまじき非科学的発言と非難されそうだ。しかし、××園には不正も落ち度もない、というのが長年取材活動を続けてきた私の勘であり、確信である。」
としたうえで、空気感染が原因ではないか、という所にもっていっているのです。
業界では、ワクチン使用が原因、というのは、もう通説になっているようなのに。10月にはいって、一般人にも、強毒性の鳥インフルエンザの流行の兆しが見えてきましたが、養鶏業界の最先端の部分では、多分予想していたことなのではないでしょうか。それに、備えた、ということは、充分考えられます。
お人よしなのか、確信犯なのか、よくわかりませんが、自分の中に軸をしっかりもって、情報に接しなければ、と思う「菜園ライター」でした。